東大生VALORANT研究日誌

VALORANTがうまくなりたいだけの東大生です

エイムの正確性についてのお話とあまり語られていない練習法について

FPSを始めたら一度はこんな事を聞いた事があると思います

「正確性の無いエイムには意味がない。速さを追い求めるのはやめろ」

 ゲームという発展途上のコンテンツにおいて、確実な練習メソッドというものは確立されていません。たまたま上手くなれた、強くなれた人の経験則的ニュアンスを含んだアドバイスというものがインターネットの海にはありふれています。「エイムは正確性が全てである」という論調も多分に漏れず、教訓の一つとして長年語り継がれてきたものだと思います。

 ではVALORANTというゲームにおいてこの考えを導入するのはどれくらい正しいのか、考えていきましょう。

 

VALORANTというゲームの特徴

 VALORANTというゲームの撃ち合いにおいて、まず何よりも最初にあげられる特徴の1つは「ヘッドショット1発」がベースになっているという事です。ファントムはミドルレンジ以上の撃ち合いだとHS1発では倒せませんが、エイムパンチの存在を考慮するのであれば事実上HS1発と捉えてもさほど問題はないと言えるでしょう。

 細かい話はさておいて基本的に言える事は、VALORANTにおいて撃ち合いとは、「先に頭に1発当てた人が勝つ」ものだという事です。ここで重要になってくるのが、「先に」「1発」というフレーズです。これらのフレーズは、VALORANTにおいてエイムのスピードの重要性を物語っています。

 つまりVALORANTの撃ち合いとは、極端に先攻有利なゲームだと言える訳です。HS1発のゲームにおいて「先に1発銃弾を発射できる」というのは、「相手の一切を封じ込める権利を得る」という事になります。カードゲームの世界では先攻ワンキルに関わるようなコンボパーツの多くが禁止カード扱いされている事からも、その理不尽さがよくわかるでしょう。このシチュエーションを作るのが立ち回りであったり、プリエイムのようなテクニックであり、純粋なエイムだけではこのゲームに勝てないと言われる所以でもあります。

 一方で、エイムの正確性とスピードは基本的にはトレードオフです。極限の正確性を追い求めればエイムのスピードはどんどん遅くなっていきます。「丁寧に丁寧にエイムをして、相手の頭にクロスヘアが重なったのを確認してから左クリックだ」なんて試合中にしていたら、左クリックを押す前に3発も4発も相手に弾を撃たれてほとんどキルがとれないまま終わってしまうでしょう。

 

じゃあエイムや撃ちだしは速ければ速いほどいいのか

 そうとは言えないからこそこのゲームのエイムは奥が深くなる訳です。いくらエイムが速くても、そのスピードでエイムした時のHS命中率が10%とかだったら全然撃ち勝てない訳ですよね。寧ろ、自分が敵に倒されるまでの間に1発でも弾を撃つ猶予があるのであれば、その範囲で可能な限りスピードを犠牲にして高い命中率を志すのが勝率の高い撃ち合いになるでしょう。

 日本国内だと最高レベルの撃ち合いの強さを誇る、ZETA DIVISIONのLaz選手は「基本丁寧に狙って撃つけど、状況に合わせて(必要があれば)素早くエイムを動かす」という話をしていました。状況判断でそれを実現するには、相当な経験値が必要だと思うので、ちょっとやそっとの練習で身に付く技術では無いと思いますが、結局それが理想だという事ですよね。死なない範囲で丁寧にエイムする、つまりスピードと正確性のバランスを重要視するという事です。

 Kovaak'sやAIMLabなどのエイム練習系ソフトでも、クリアスピードとAccuracy(正確性)の両者が加味されてスコア決定される事が多いので、結局両方大事なのはまぁ広く受け入れられた事実として認めて良いでしょう。

 

じゃあどのような練習をすればいいのか

 エイム練習という括りで練習をするのであれば、基本的には丁寧なエイムを練習するに限ると思います。正確性とスピード、それぞれがどのような場面で求められるかというのを整理すると、正確性は「より有利な状況で」、スピードは「より不利な状況で」求められるエイムの種類です。立ち回りやプリエイムといったエイム以外の部分で「有利状況」を作る練習をしているのに、肝心なエイムは「不利状況」で使う素早いエイムばかり練習するのはちぐはぐですよね。有利状況でちゃんと勝ち切る事、それがエイムの存在意義です。

 一方、デスマッチという練習の場においては、丁寧なエイムを疎かにしてしまう人が多いように感じます(シルゴルの友達や配信者を見てきた上での体感や、自分の経験として)。どうしても敵が撃ち返してくる状況だと、焦ってしまう人が多いのでしょう。実際デスマッチの戦績そのものは、実戦同様の撃ち方をした方がスコアは高くなるはずです。実戦向けなエイムとはそういうものですから。しかし、練習の場において「感覚エイムによる上振れ」であったり、「リコイルコントロール」などによる運勝ち要素は必要ないはずです。

 それを考えると「実戦に近い撃ち合いの練習」がしたいのか、「動いている敵に対するエイム練習」がしたいのかによって、デスマッチのプレイングをガラッと変えるべきではないでしょうか。実際自分の配信録画を見返してもらった時、友人のExpOLvI(通称するめさん)から「リコイルで強引に倒している事が多くて初弾精度が悪い」という旨の指摘を受けました。そこで少し考えていたら、「bot撃ちは丁寧にやってたけどデスマッチ丁寧にやったことないな」という事に気づいた訳です。

 もともと動いている的に対するエイムには自信がなかったので、デスマッチを最近は練習の軸にしてきましたが、特に深く考えずにデスマッチを回してきた事をすごく後悔しています。もしよかったら皆さんも是非、「めちゃくちゃ丁寧に狙うデスマッチ」やってみてください。デスマッチ内での撃ち合いの勝率は下がるけど、エイム練習の1つとして非常に有効だと思います。