守りのプッシュと攻めのラーク~FPSはじゃんけんである~

 ハイリスクハイリターンな動き

 VALORANTなどのFPSゲームにおいては、それなりのリスクを負う事で大きなリターンを得られる動きがあります。守り側のプッシュはそれの最たるものと言えるでしょう(APEXなどのバトロワゲーなどは基本的にローリスク重視ですが)。

 守り側のプレイヤーが詰めていく事には、「裏取り」だけでは説明できない意味があります。

 

 

そもそも裏取りとは

 そもそも「裏取り」とは。読んで字のごとく、相手の「裏」を取る行為です。厳密にいえば少し意味は違いますが、これは「後ろを取る」と言い換える事ができます。では、VALORANTなどのタクティカルFPSにおいて「前後」は不変なものでしょうか。

 ここで勘違いしているプレイヤーが多いイメージです。攻めと守りのスポーン地点が固定であるため、自分たちのスポーン側に敵が回ってきている事、これを「裏」と呼ぶのは間違ってないでしょう。しかし、攻め側の進行方向が必ずしも「表」を向いているのか。

 答えは「否」ですね。攻め先が2か所以上あるゲームなので、「ローテートの瞬間」は相手は一斉に後ろを向きます。

 このタイミングで「裏取りだー」と詰めていってしまうと、「敵の背後を取ってイージーキルを取る」という裏取りの本質が損なわれてしまいます。

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こんな撃ち合いになってしまったら生き残れる確率は下がってしまう

 ここまで極端になる事は少ないにしても、やはり相手が「攻め込みたい、前に進みたい」と思っている時に後ろをつくのが裏取りの本質です。どうしても「裏取りしようとして死んでしまう」という人は、「相手が攻めてるのか、止まってるのか」を意識して進むタイミングを考えるのがおすすめです。

裏取り以上のエリア取りの意味

 では、相手がローテートする事を考えた時、守り側のプッシュに意味はないのか。これもまた「否」です。守り側がエリアを広げる事には「裏取りからキルを狙う」以外にも意味があります。

 攻め側がローテートの選択を取る時、攻め側にラークがいなかった場合、守りがどこまでプッシュしているのかを知るすべはほとんどありません。索敵アビリティはクリアリングの難しいサイト内に取っておきたいので、基本的に体でクリアリングをしながらローテートする事になります。

 すると、守り側が前に出てエリアを広げていた場合、オフアングルでの待ちタイミングピークをするだけでかなり簡単にキルが取れます。特にローテート時はスピードを重視して足音を消さずに移動するので、かなりキルを狙いやすいですね。

 以下に貼った動画なんかはまさにその例で、(最初の数秒は飛ばしてください)15秒くらいで敵のローテート音に気づき、そのまま待ってるだけで相手のローテートを抑えきる事ができました。

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 また、敵のカバーがしっかり入って1-1交換されたとしても、敵のローテートに早く気付く事ができるので、守りのシフトが先に完了して待ち受ける形を取れる事が多いです。

 さらに詰めた場所、その後の見方にもよりますが、ローテートを見る事ができるので、プッシュしたプレイヤーがしっかり生きている間は基本的にもう片方のサイトの守りを安心して固める事ができます。相手の攻めが止まっているように見えても、「あれこれローテートしてる?待ってるだけ?」と不安にならずにどっしり構えられるので、振り回される事が減ります。

 そのまま相手がローテートせずに時間をおいて改めて同じサイトを攻めてくるようであれば、そこで初めてエリア取りしたプレイヤーは「裏取り」に入ればいいわけですね。

じゃあ守りは詰め得なのか

 どんどん奥が深くなっていきますね。ここまで守りのプッシュのメリットを聞くと、「じゃあ毎ラウンド守り詰めたらええやん」となってしまいそうですが、そんな単純だったら競技シーンはこんなに盛り上がってないです。

 当然攻め側にもカウンターとなる動きがあります。それが、詰め待ちやラークという動きになってくるわけです。

 

攻め側から見た「詰め対策」

 単純に何も考えずに詰めてくる敵に対して攻め側がまず思いつくのは「詰め待ち」です。基本的に守り側のプッシュは「バレない事」を前提としてその旨みを享受できます。静かに足音を消してゆっくり詰めてくるのであれば、「待ち」が刺さるのはなんとなくわかるでしょう。

 しかし賢いプレイヤーは詰め待ちに対してもちゃんとケアしてきます。攻め側がアクションをかけずに露骨に「待ってます」の雰囲気を出してしまうと、素直に守られてしまい、攻め側は時間を無駄に使ってしまう事が多いです。

 かけるべき場所にしっかりアクションをかけて、プッシュしたい守り側のプレイヤーが釣りだされたところをしっかり刈り取る。プッシュせずに素直にシフトしてそうなら攻めはローテートを選択する。ラークがいればこういう動きを攻めがとる事が出来ます。

 

結局FPSはじゃんけんである。

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 一方で毎回ラークをしていると、守りが「2人でプッシュしてくる」ようになったり、それに対抗して攻めは「ラッシュ」を選択するようになったり...。攻め方守り方は単純ではなく、お互いの動きに対してちゃんとカウンターの動きが存在します。めちゃくちゃ複雑になったじゃんけんのようなものですね。

 じゃんけんで「グーしか知らない」あるいは「グーしか出せない」人がいたとしたら、その人に勝つのは簡単ですね。

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 毎ラウンド同じ動きをしたり、そもそもどういう動きがカウンターになるかを知らなかったり、相手がずっと同じことをしている事に気づけなかったり。こういった要素はチームの負けに直結してきます。

 まずは最低限じゃんけんが出来るようになって初めて、「相手が何をしてくるのか読む」とかそういう先の動きを考える事が出来るようになります。

 FPSにおいて基礎的な立ち回りが大事と言われるのはこういう部分ですね。立ち回りが単純だと簡単に対策されてしまいます。それでも勝ち切ろうと思ったら、「グーでパーに殴り勝つ」みたいな相当な撃ち合いの強さが要求されます。

 逆に言ってしまえば、「グーでパーに殴り勝つ」を通されてしまうと、かなり不利な展開になっていきます。野良試合だと上手く意思疎通が取れなかったり、とんでもなく相手の撃ち合いが強かったりでちょいちょいそういう事が起こってしまいます。こういう時はある程度「仕方ない」と受け入れる事が必要になる場合もあります。

 撃ち合いと立ち回りの「総合力」でランクは上がると上位帯のプレイヤーは口を酸っぱくして言っていますが、ほんとに勝率を高めようと思って考えるとまさしくその通りだなと理解できると思います。

 自分も芋からさらに上がっていく為に苦手な所を無くしていきたいですね。

 

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